足立由美子のまるごとバインミー

バインミー工房見学。

バインミー工房見学。

ホーチミンで、バインミーを作っているところを見せてもらいました。
この工房はシフトを組んで24時間ずうっとフランスパンを焼いています。

奥さんが昼、ご主人が夜の担当。
朝は学校の近く、夜は夜間操業の工場近くのバインミー屋さんなどに配達しているそうです。
もう35年間以上もフランスパンを作っていて、ベトナム戦争中には調理パンやパイとかも作っていたのだとか。
「あの頃はもっと売れて、一日10万本くらい焼いて、ワゴン車4台で配達していたのよ」と奥さん。
「もっと材料も良いものを使ってたし、バターやミルクや卵、イーストも良いものだったわね」
戦後、材料も良いものが手に入らなくなり、生地もスカスカになったというのです。

ベトナムのフランスパンには米粉が使われている、という噂を確かめるべく奥さんにもその質問をぶつけてみましたが、「米粉は使いません、聞いたこともないわね〜」とのこと。
「戦後の食糧不足の時に片栗粉を入れたことはあるけれど・・・」
そんな感じで米粉を使っているところもあるのかもしれませんね。

以前もパン工房を見に行ったことがありますが、そこも米粉は使っていませんでした。
未だに謎の米粉入りの噂、まだまだ調査、継続中です。
ちなみにラオスのルアンパバーンではフランスパンはちょっともっちり、やはりもち米粉を使っていました。このお話はまた後日ご紹介したいと思っています。


小麦粉を他の材料と混ぜて練っています。


混ぜ終わったら、生地を丸めて成型していきます。
この工房では、軽めスカスカとしっかりの2種類のフランスパンを作っています。
「スカスカのを作るのは具材をはさみやすくするためなの?」と聞いたら、「安く売ってあげられるから、バインミーやさんたちも安く売れるでしょう、なるべく利益をあげて欲しいからね」という答えでした。
確かに、丸めた時の重さはしっかりパンの約1/3。
発酵時間を長くしてふわ〜と焼き上げていました。


さぁ、発酵していきます。


膨らんできました。


型に置いて焼きます。


クープを入れて・・・ものすごい早さで入れていきます。


昔は炉で焼いていたけれど、今は1回に240本焼けるオーブンを買って1日1万本焼いてます。
スカスカパンのほうが多いようです。


焼き上がりました。


ビニールに入れて、バイクで配達です。


できたてをいただいちゃいました、いい香り〜、スカスカだけど・・・美味しい。
これぞベトパン。

Profile

足立由美子足立 由美子
あだち ゆみこ

ベトナム屋台食堂
「Maimai」店主

東京・江古田にあるベトナム屋台食堂Maimaiの店主。
もともとはスペイン・中南米料理を研究していたが、ポルトガルで知り合った友人に誘われて出かけたホーチミンで、ベトナムの魅力にはまる。ベトナムの市場や店の片隅に眠っているレアな雑貨を持ち帰り、ベトナム各地で食べたおいしいものをMaimaiで再現、ベトナムの尽きない魅力を日々追い続けている。
2006年4月には、ベトナム料理留学仲間3人で『チェーカフェ』というユニットを結成。
イベントや料理教室などを通じて、ベトナム料理のおいしさを広める活動もしている。